転職活動中の建築士や設計職の方からよく聞かれる質問のひとつが、
「建築事務所と建設会社の意匠設計って何が違うの?」 というもの。
同じ「意匠設計」でも、職場の形態によって仕事内容・求められるスキル・キャリアパスが大きく変わってきます。
今回は、建築事務所と建設会社の意匠設計を徹底比較しながら、その特徴と転職のポイントを解説していきます。
建築事務所と建設会社の意匠設計の違い
それぞれのメリット・デメリット
転職先を選ぶ際の判断基準
建築事務所の意匠設計とは?
建築事務所の意匠設計は、デザイン性と企画力が中心。
施主(クライアント)の要望を汲み取り、建築のコンセプトを形にしていきます。
- 仕事内容の特徴
- 企画・コンセプト立案
- デザイン検討(意匠図・CG・模型など)
- 施主との打ち合わせが多い
- 独自性やデザイン性を追求できる
- メリット
- 建築家としての感性を磨ける
- 自由度が高く、デザインに深く関われる
- 有名プロジェクトに関わるチャンスも
- デメリット
- 案件によっては長時間労働になりがち
- 収益性よりもデザイン重視のため給与水準はやや低め

「建築を芸術的に追求したい」「デザイン性を武器にしたい」という人におすすめです。
建設会社の意匠設計とは?
一方、建設会社の意匠設計は、実現性と調整力がカギになります。
ゼネコンやハウスメーカーなどで、実際に建てられる建物の設計を担う立場です。
- 仕事内容の特徴
- 基本設計から実施設計まで担当
- 構造・設備・施工部門との社内調整
- コスト・工期を意識した設計
- 法規・安全面を重視
- メリット
- 設計から施工まで一貫して関われる
- 安定した給与・福利厚生が期待できる
- 実務に直結するスキルが身につく
- デメリット
- デザインの自由度は低め
- コストや工期に縛られやすい
- 社内調整に時間を取られることも



「安定した環境で働きたい」「社会インフラとしての建築に携わりたい」という人におすすめです。
建築事務所 vs 建設会社
項目 | 建築事務所 | 建設会社 |
---|---|---|
重視する点 | デザイン・独自性 | 実現性・コスト・工期 |
主な業務 | 企画・デザイン提案 | 実施設計・調整業務 |
仕事のやりがい | 建築作品を生み出す喜び | 大規模プロジェクトを動かす達成感 |
キャリア | 建築家・独立の道も | 設計管理職・ゼネコン幹部など |
労働環境 | 案件によって多忙 | 比較的安定 |



「どちらに行くか」だけでなく、「将来的に両方を経験してみる」という視点を持つと、長期的なキャリア戦略にもつながります。
転職のポイント
- クリエイティブ重視 → 建築事務所
デザイン性や独自性をとことん追求したい人には、建築事務所が向いています。企画や提案を重ね、建築を作品として生み出す喜びを得られる環境です。 - 安定・総合力重視 → 建設会社
実務に直結するスキルを積みながら、安定した環境で働きたい人には建設会社が最適です。コスト・工期・法規を意識しつつ、大規模プロジェクトに関わる達成感を味わえます。 - 両方を経験 → 市場価値が高まる!
実は、建築事務所と建設会社の両方を経験すると「デザインもでき、施工も理解している人材」として重宝されます。転職市場でも評価が高く、キャリアの幅がぐっと広がります。



「どちらに行くか」だけでなく、「将来的に両方を経験してみる」という視点を持つと、長期的なキャリア戦略にもつながります。
まとめ
建築事務所と建設会社の意匠設計は、同じ「設計」という仕事でありながら、求められる役割ややりがいが大きく異なります。
- 建築事務所 → デザイン性・独自性を追求できる環境
- 建設会社 → 実現性・安定性を重視し、大規模プロジェクトにも関われる環境
どちらが正解というわけではなく、重要なのは 「自分がどんな建築士として成長したいか」 という視点です。
クリエイティブに建築を突き詰めたいのか、安定した環境で実務力を磨きたいのか。あるいは両方を経験して市場価値を高めるのか。
転職はキャリアの分岐点。しっかり情報を整理し、自分の軸を持って選択することが未来の働き方につながります。
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