建築事務所から公務員(建築技術職)になって感じた「良かったこと」「悪かったこと」。
はじめまして。キキです。
建築業界の働き手が幸せを実現するための「就職・転職」のノウハウと「働き方」を発信しています。
【経歴】
▶︎建築業界内で3回以上の転職を経験しました。
▶学生時代は上海の建築事務所やアトリエ系の建築事務所で働く。
▶地方大学院卒から関東の組織建築事務所
▶過労で入院。手術もすることになり、体調不良で半年間、療養しました。。。
▶地元建築事務所(中小企業)
▶地元県庁_建築技術職
▶建築事務所に再リベンジ中!
【資格】
・一級建築士
・インテリアプランナー
・宅地建物取引士
私の経験が建築業界で生き方を模索している方の参考になればとブログを書いてます。
良かったこと
民間企業のように潰れない・リストラがない。
公務員の最大メリットは民間企業のように潰れる心配がない、またリストラが無いという安定性です。
建築業界は社会情勢の影響を受けやすい業種だと感じます。仕事が無くなる事への心配がないのは公務員だけではないでしょうか。
もちろん、公務員の職務にはそれなりの責任とプレッシャーが伴いますが、組織の存続やリストラついて心を痛めることはありません。
私が以前勤めていた建築事務所では、小さい会社ということもあり、コロナ禍の影響で潰れてしまいました。
その時の不安・悔しさは今でも覚えています。
プライベートの時間が増える。
建築事務所で働いていた頃、日常的に多忙な日々を送っていました。プロジェクトの締め切りに追われ、残業や休日出勤も当たり前でした。そのため、プライベートの時間はほとんど無く、結果、家族や友人と過ごす時間もありませんでした。
しかし、公務員は平日の残業はありますが、圧倒的に少ない残業時間で済みます。
週末は確実に休むことができるようになったので、家族との時間が増え、かけがえのない瞬間を共有することができるようになりました。また、趣味や自己啓発の時間も確保できるようになり、ストレスの軽減や新しいことへの挑戦も可能となりました。
友人との約束も計画的にできるようになり、昔のように急な仕事でキャンセルすることがほとんどなくなりました。これにより、人間関係がより深まり、日常の小さな幸せを感じることができるようになった気がします。
私の場合、公務員に転職することで、仕事の質や責任も変わりましたが、人生において、時間は最も貴重な資源であると感じているので、この変化は非常に有意義だったと感じています。
建築事務所で働いている時は会社に泊ることや始発・終電で通勤するなど。。。100時間/月以上は毎月必ずありました。
公務員では、忙しい時で30~45時間/月程度なので、プライベートのある生活ができます。
営繕課に配属されれば、公共建築の設計・現場管理の経験値を多く得られる。
建築事務所や建設会社で100%民間企業からの受注で成り立っている会社は少数です。多かれ少なかれ、公共工事の受注をしている会社がほとんどです。
建築事務所で建築士として働く場合、担当で受け持つ物件数は3~5物件です。しかし、公務員で発注者として受け持つ物件数は10~20物件です。多くの物件に携わることができるので、知識としての経験は圧倒的に多く得られる事ができます。
それは、仕事の進め方も同じくです。それぞれの建築事務所がどんな仕事の進め方をして、どの程度の精度の図面を成果品として提出してくるかは勉強になります。
発注者として受け持つ物件は10~20物件です。
建築技術職の公務員にとっては、「公務員は成長スピードが遅い。」嘘だと思います。
他人任せにせず、一つ一つの知識を大切に拾っていけば、大きく成長できる環境です。
悪かったこと
ものづくりの感動が少ない。
建築事務所に勤めていた頃、私は直接的に「ものづくり」の現場に携わっていました。プロジェクトの初期段階から終了まで、設計の細部に至るまでの取り組みや、その成果物を目の前にする感動は、私にとって非常に価値のある経験でした。
しかし、公務員に転職してからは、その「ものづくりの感動」を直接感じる機会が減少しました。公務員の仕事の性質上、多くの時間を行政的な業務や文書作成、協議などに費やすこととなり、具体的な設計活動や実際の現場に足を運ぶことが少なくなりました。
私自身、建築というフィールドに足を踏み入れた理由の一つに、「ものづくりの喜びや成果物を目の前にしたときの達成感」があったので、その部分が減少したことは正直、少し物足りなさを感じることがありました。事務所での経験を思い返し、具体的な建築物の形になるプロセスを共有していた仲間たちや、完成時の喜びを感じる瞬間を懐かしく思ったりもしました。
もちろん、公務員としての仕事にも多くの魅力や重要性がありますし、社会のために何かを成し遂げるという意義も深く感じています。しかし、純粋な「ものづくりの感動」の面で言えば、私にとっては少し寂しい面も否めませんでした。
契約・文書管理にかなり時間が費やすので、建設現場にいく時間は少なくなります。
そして、設計と工事を合わせて、1人当たり10~20物件程を担当するので、必然的に1物件に費やせる時間とエネルギーは少なくなります。
多くの物件に携われる分、「広く・浅く」になってしまいます。
給料が思った以上に低すぎる。
公務員の給料は、一般的には安定していますが、私の場合、前職の給与と比較すると思った以上に低かったのです。特に、初めての給料明細を見たとき、その差に驚きました。
公務員としての職務には多くの責任や役割が伴うため、その重要性や働きがきちんと給料に反映されると考えていました。しかし、現実は少し厳しいものでした。特に、私のように中途で公務員として入る場合でも、給与面でのスタートラインが低くなることもあるようです。
もちろん、公務員としての仕事の安定性や福利厚生、将来の退職金など、給料以外のメリットは数多くあります。しかし、毎月の生活費や家族の支えとなる給料に直結する部分では、正直なところ少しの不満も感じてしまいました。
結果的に、私は生活スタイルの見直しや節約を心掛けることで、この給料の問題を乗り越えていきましたが、公務員への転職を考えている方には、給与面での期待と現実のギャップに注意してもらいたいと感じています。
公務員の給料は、大学院・民間企業の経験年数も考慮されて、給料(等級)が設定されます。
【大学院2年、建築事務所6年、31歳】の給料は、住宅手当・通勤手当を含めて、手取り18万程度でした。。。
詳細は下記のとおり。
・基本給料:223,800円
・住宅手当:27,000円(家賃6万/月の場合)
・通勤手当(定期代):6,000円
・時間外手当(残業代):0円
■支給総額:251,000円
□控除額(税、保険料等):70,000円
◆手取り額(税引き後):181,000円
昇給額は5,000~6,000円程度/年です。
残業を30時間/月して、時間外手当(残業代)50,000円程度になるので、それでようやく、人並みの生活ができる感じです。
残業時間が少ない自治体、配属の課で働く場合、金銭的に厳しいのが現実です。。。
事務処理が多い。
建築事務所に勤務していた頃、私の主な業務は建築設計や施工図の作成、クライアントとの打ち合わせなど、直接的に「ものづくり」に関わっていました。そのため、その時々のプロジェクトに没頭し、設計や現場監理をする日々を過ごしていました。
しかし、公務員に転職した際、その業務内容にはかなりの変化が生じました。特に、事務処理の量が非常に多いことに驚きました。公共の建築物や施設に関する計画や設計は、多くの文書や申請手続き、予算の調整、関係各所との調整などが必要となります。
これらの業務は、確かに建築のプロジェクトを進める上で欠かせない部分ですが、私がこれまで経験してきた設計中心の仕事とはかなり異なるものでした。毎日のように事務的な作業に追われる中で、かつてのような設計に没頭する時間が少なくなったのは、正直なところ少し寂しく感じることもありました。
また、公務員としての業務は、行政の性質上、様々なルールや法令に基づく手続きが必要となるため、その習得や正確な適用にも時間と労力がかかりました。
私はもちろん、これらの業務の重要性や意義を理解しており、しっかりと取り組むよう心掛けていますが、やはり建築事務所での経験とのギャップを感じることがしばしばでした。これから転職を考えている方には、事前に公務員としての業務内容をしっかりと理解しておくことをおすすめします。
公務員は紙・印鑑の文化が根付いています。そして、大量の書類を紐で綴って、整理をします。
ペーパーレスになれば、事務処理も楽になると思うのですが、時代に取り残された仕事のやり方を続けています。
まとめ
建築事務所での経験を経て公務員に転職し、その違いや新しい環境における多くの変化を感じました。
まず、公務員としての最大の魅力はその安定性です。民間企業のように経営破綻のリスクや突然のリストラの心配がなく、生活の基盤が確実に築かれることを感じています。さらに、勤務時間が比較的固定されており、プライベートの時間もしっかり確保できるようになりました。また、公共建築の設計や現場管理に関わるチャンスが増え、幅広い経験を積むことが可能となっています。
一方、転職して感じたデメリットとして、ものづくりの現場からの距離感が増したことが挙げられます。直接的な設計や創作活動に携わる機会が減少し、その感動や達成感を日常的に感じることが少なくなりました。給料面でも、前職に比べて少し低いことを実感しており、生活スタイルを少し見直す必要がありました。そして、行政の性質上、事務処理や文書作成などの業務が増え、設計に没頭する時間が減少しているのも事実です。
このように、新しい環境では良い点もあれば、改善の余地や挑戦もあります。それでも、この転職経験を通して、自分の価値観や仕事への取り組み方を再確認することができました。
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